旧車の魅力

現在の車ではなく、あえて古い車を好む人という方も少なくありません。
こういう人にどうして旧車ばかり買うのかと聞くとほとんどの方が、「車らしいから」と答えます。
この「車らしい」ということはどういったことなのでしょうか。
これは現在の車と旧車と呼ばれる車を比較してみるとよくわかります。

あまりにも広い範囲で考えてしまうと非常に複雑になってしまいますのでここは国産車だけで考えて見ましょう。
例えば旧車としても大人気の日産・フェアレディZ、現行モデルはルノー主導で作られたZ34型で3.7リッターV型6気筒NAエンジンにトランスミッションはマニュアルトランスミッションとオートマチックトランスミッションの2種類、モデル構成は実用性を全く無視した2シーターだけの設定、エンジンにはVVELという電子制御式の可変バルブリフト量、バルブタイミングシステムを搭載し、燃料供給もインジェクション、点火系も完全にコンピューターに支配され、まさに電子制御システムも塊といっていいでしょう。

一方、旧車マニアの中で大人気のS30型、このモデルには名機と呼ばれている直列6気筒のL型エンジンが搭載されており、トランスミッションはメインをマニュアルトランスミッションとし、一部3速オートマチックトランスミッションを用意していました。
エンジンに特別なものはつけられず、燃料供給はキャブレター、点火系もポイント式とまさに当時の車の典型的な構造を持っていました。

ABSなどはもちろんなく、短距離で確実に止まるにはドライバーのブレーキングテクニックが必要でしたし、変速動作に至ってもZ34のように多段式オートマチックトランスミッションや容易にギヤを入れることができるマニュアルトランスミッションではなく、エンジン回転数とクラッチペダルを踏むタイミング、シフトレバーの動かし方などそれなりテクニックがなければ、スムーズに走らせることすら難しい車でした。

山を登れば気圧の変化で燃調は狂うし、寒いところにしばらく止めておくとエンジンをかける事すらも難しいこともあります。
はっきり言って非常に手間と気を使う車ですが、そういった車が元気に走りだした時は非常にうれしいものでした。

Z34のように不用意な運転をしてスピンしそうになってVDCの介入でスピンを免れることもありませんし、パワーをかけすぎてオーバーステアになっても、一切それを回避する装置などはつけられていません。
要するに旧車と呼ばれる車をきちんと走らせようとするにはそれなりのドライビングテクニックや車の構造に対する知識、整備する技術などを多少なりとも持っていないと無理だったということなのです。

一見、デメリットばかりあるように見えますが、これが旧車を乗る一つの魅力なのです。
ステアリングホイールを右に回せば回した分だけ車が曲がる、アクセルペダルを踏めば踏んだ分だけパワーが上がる、ブレーキペダルを踏めば踏んだ分だけ制動力が強くなる、こういった車としての基本的動作が旧車と呼ばれる車ではできたのです。

今の車のように無理なステアリング操作を邪魔する機能も付いていませんし、急発進を抑制する機能もない、自動的にポンピングブレーキを行うABSなども全くつけられていません。

ドライバーがリヤをブレークさせたいと思えばできますし、タイヤをロックさせたいと思えばできたのが旧車と呼ばれる車なのです。
エンジンの調子も日々変わってしまい、昨日絶好調だったエンジンが今日は全く元気がないなどは当たり前で、その都度キャブレターや点火系を調整して、その日の天候や温度、湿度などにあわせたものです。
それが今の車にはない。

これが旧車でしか味わえない楽しみというか喜びになっているのだと思われます。
要するに「車に乗せられる」のではなく、「車を繰る」といった楽しみがあるのです。

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