「幼き日の夢 ハコスカ(スカイライン)」

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寝てもさめてもスカイライン。でした。

買ってもらったミニカーのうちの一台が通称ハコスカ、形式名C10。
何台もあるミニカーの中でも、そのハコスカだけは自分にとって別格の存在でした。

引き締まった筋肉質なボディー、サイドを走る通称サーフィンラインと呼ばれる独特な線、
凛々しいフロントフェイス。
どこをとっても幼い頃の自分にとっては完璧な一台でした。

いつしか両親にねだるミニカーはスカイラインばかりになり、
ハコスカの次のモデルであるケンメリやジャパンと並べて眺めるのが何よりの楽しみでしたが、

やはりお気に入りはハコスカでした。
やがて小学校の高学年になり、プラモデルを作り始めるようになると

スカイライン熱はさらに加速しました。
友人たちがセリカやフェアレディZなどを選ぶ中、私は一途にスカイラインばかり何台も組み立てた記憶があります。

挙句の果てには家族の車を買い替えるときにスカイラインにさせてしまったほど。
私を「クルマ好き」として洗脳してしまった、特別な一台がハコスカでありスカイラインというブランドなのです。

「ハコスカが欲しい!」

月日は流れ、免許を取得。
さあ、憧れのハコスカ!というほど世の中は甘くありません。

もはや既に旧車というポジションに居たハコスカは、免許取立ての若者が維持できるようなシロモノではありませんでした。
またその頃は今のように中古車の流通や保障というものがしっかりしておらず、
「中古車イコール壊れて泣き寝入り」という図式があったのも購入を躊躇した理由のひとつです。

そんなわけで、結局初めての愛車は家族の車「もう少し新しいスカイライン」ということになりました。
今にして思えば、その頃経済力と決断力がなかったことが本当に悔やまれることになるのです。

なぜなら・・・その後まもなくインターネットというものが爆発的に普及しました。
インターネットの普及とハコスカと何の関係があるのかと思われることでしょう。

でもこれは、ハコスカのみならず旧い車を欲しいと思う人間にとっては革命的な出来事だったのです。
それまでの中古車探しというのは大概「中古車雑誌」によるものがメインでした。

月に一度、希望のクルマが乗っているのかどうかわくわくしながら書店に走ったのを思い出します。
ところがインターネットが一般化してくると、中古車雑誌の変わりに「ホームページ」というものが
登場しました。

これは本当に驚いたものです。月に一度ではなく、毎月何百円か払うことも無く、
最新の情報が居ながらにして手に入るのです。
それが他とてとてつもなく遠い場所にあるお店だったとしても、電子メールで気軽に問い合わせが出来るのです。
ネットオークションなるものも登場し、絶版になった部品なども見つけやすくなりました。

そしてなにより大切なこと。
それは「情報の共有」です。

旧車というものを維持するにおいて、実は一番重要なのは「情報」なのです。
「ここが壊れた」「あそこが調子悪い」というどうしてもついて回る悩みを、
ネットで共有し、助け合うことができるようになり、
ちょっと敷居の高かった旧車の所有というものをインターネットは幾分下げてくれたのです。

でも、クルマが探しやすくなり、部品の手配も楽になり、情報も得やすくなったらどうなるでしょう。

「もはやスーパーカー 手の届かない車ハコスカ」

その後生活に忙殺され、ハコスカへの夢も忘れかけていましたが、
幾分余裕も出来てきたので久しぶりにハコスカを探してみることにしたのですが、
仰天しました。

私が免許を取得した頃には程度の良いものでも80万円くらいで流通していたと記憶しているのですが、
いまや倍どころではありません。

これから自分でかなり手をかけなければならないような、いわゆる「ボロ」でも200万円。
すぐにストレス無く乗り出せるような固体だとあの頃の10倍もするような値段になっているのです。

高級外車の新車よりもたかく、もう少しがんばれば中古の一軒屋ですら買えるような値段。
仮に今の車を買取に出しても全然足りない。
僅かな望みをもって当時、ガリバーなどの車買取店が登場してきたころでしたので査定してもらいましたが、当然いくら高く売れるといってもハコスカが買えるほどには届かず。

夢が夢で終わってしまったことを認めざるを得なかった瞬間でした。

それでもハコスカと出会い、車好きになり歩んできた人生は後悔していません。
ハコスカは車という乗り物、いや「車に対する向き合い方」を教えてくれました。

単なる移動手段ではなく、その時その時の人生のパートナーとして車を愛でることができたことはほかならぬハコスカのおかげです。
今でも天気の良い休日などに綺麗に手入れされたハコスカが走っているのをたまに見かけると
目で追ってしまいます。

どうかいつまでもオーナーさんに愛情を注がれながら元気で走り回って欲しいものだと、願わずにはいられません。

ただし、夢が消えてしまったわけではないのです。
今でも机の脇に仲良く並んだ子供の頃に買ってもらった小さなミニカーたち。

私の夢は今でも私を見守ってくれています。

このミニカーは今でも飾られています。

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